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【CP9】リトルウルフ/傷跡/悪夢/魔王

「トリック オア トリート!」

現れるなりガオーと両手を広げてお菓子をせびる部下に、スパンダムは可能な限り目を細く引き絞った。

拍手[2回]


シュア、お前何やってやがる」

「何って長官、今日はハロウィンですよ。
 部下を労って持て成すのも上司の仕事の内なんですから、
 悪戯されたくなければ高級焼肉を御馳走してください!」

「高級焼肉だと~!?要求がハロウィンの範疇を超えてるじゃねェか!
 ったく、冗談はその奇妙な恰好だけにしやがれ!」

「え~、可愛くないですか?オオカミ少女」

そう言って上目を此方に向けながら耳をぴょこぴょこと動かす彼女はきっと確信犯である。
あざといと分かりながらも破壊的な可愛さに思わず赤面してしまうスパンダム。

「あれ~?長官、顔が赤いですけど?」

「うわーーー!やめろ、バカ!顔が近いんだよ!!一体何考えてやがる!!」

「え~、だって何もくれないってことは悪戯されたいんでしょ?」

「わ、分かった!これやるから大人しくしてろ!
 ったく、こんなところ誰かに見られでもしたら
 明日から俺はセクハラ上司呼ばわりだっつうの…」

言いながらスパンダムが咄嗟に机の下から取り出したのは、籠いっぱいに詰められたお菓子だ。
チョコレートやキャンディなどカラフルで賑やかなお菓子たちは、どうやらシュアのためにスパンダムが事前に用意していたものらしい。

「わあ、すごい!お菓子がいっぱいだ~♪」

「ワーッハッハ!見たか!
 お前のことだから必ず何かせがんで来るだろうと踏んで先に対策を講じてたんだよ!」

「へぇ、長官も少しは成長したじゃないですか。では、この調子で焼肉の方も…」

「んな…!?欲張りすぎだ!え?奢ってくれなきゃ悪戯するだと?
 や、やめろーーー!くすぐるな!!アヒャヒャヒャヒャ!!
 どわっ!?あち!あつ!コーヒー溢した、あーーーー!!俺の書類があぁぁぁぁぁぁ!!」



「トリック オア トリート!」

「これはこれは、可愛いオオカミさんじゃのう」

スパンダムの時と同様ガオーと勢い付くオオカミ少女に、部屋の主は読みかけていた本をパタリと閉じて向き直った。

「しかし残念じゃな。生憎、菓子は持ち合わせてないんじゃ」

「えー!?お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうよ?」
 
「ほう…シュアになら悪戯されてみたい気もするがのう」

「え、」

「それとも…」

カクは徐にシュアの顎を持ち上げ、

「お菓子よりも甘~いキスをプレゼントするなんてのはどうじゃ?」

と、桜色のグロスが薄く乗る唇を親指でなぞった。
蠱惑的で余裕たっぷりのカクとは対照にシュアはオロオロと視線を彷徨わせるばかり。これではどちらが悪戯されているのやら…。
そして、とうとうカクの唇が触れ合おうとしたとき

ガブッ!

「いっ!?何で指噛むんじゃ!?」

「お、オオカミに手出そうとするからよ!もういいもん!カクにはお菓子ねだらない!」

カクが怯んだ隙に腕の中からすり抜けたシュアは、そのままアッカンベー、と舌を覗かせて部屋から出て行ってしまった。

シュアのやつ、思いきりやりおって…」

走り去る彼女の背中を見送りながら、カクはじんと痛む親指に残された歯型をペロリと舐めた。 
 


「まったく、カクってば誰かさんに似て手が早くなったんじゃないかしら」

追いかけてこないか後方を確認しながら広い廊下を駆けていたシュアだったが、

「んぶっ!?」

突如正面から何かにぶつかる強い衝撃で足を止めた。

「った~、鼻打った…」

「おい、大丈夫かよ?」

鼻柱を押さえながら涙の浮かぶ目で声の主を見遣ると、
相手はダメージをそれほど受けていないらしくケロッとした顔で此方を見下ろしていた。

「ジャブラ!もう、ボーっと歩いてるんじゃないわよ~」

「後ろ気にしながら走ってたヤツがよく言うぜ…。
 それより何だ、この耳はよォ」

「いたたた!こら、引っ張るな!」

「ほぉ、こりゃ本物か?俺のとよく似てるような…」

「あ、気付いた?
 悪魔の実を研究している政府の化学研究班に、
 イヌイヌの実をモデルに試薬を作ってもらったのよ。
 効果は数時間だけらしいけど、なかなかの出来でしょ?」

「へぇ~、化学の力ってスゲェなオイ。
 痛みを感じるってことは神経もちゃんと通ってるってことだろ?
 …なあ、こうするとどうよ?」

そう言ってジャブラはシュアの耳を指先で上下に優しく撫でた。
ピクッと一瞬シュアの耳が跳ねたが、ジャブラの慣れた手つきに忽ちヘニャリと垂れた。

「こうされると気持ちいいだろ?」

「う、うん…さすが同種だから上手いね」

心地よい刺激に目をトロンとさせ、次第に体中の力までも抜けてしまったシュアは、たまらずジャブラに寄り掛かった。

シュア、俺の部屋でもっと気持ちいいことしてやろうか?」

「ジャブラ…」

舌なめずりをする彼の眼は、もはや狩りをする肉食動物の眼だ。
そして、そんな彼の後ろには

「あ、ギャサリン…」

「なにっ!?ギャ、ギャサリン!
 こ、これは、その…ハロウィンのノリみたいなもので、決して心変わりしたわけでは…!」

「いいのよ、ジャブラさん。私はルッチさんが好きだもの。だって、男って顔でしょ?」

そう言い残し、何食わぬ顔で立ち去ったギャサリン。
膝をついたジャブラにとってこの現実こそが正に悪夢なのであった。



「トリック オア トリート」

シュアは、自室に戻るなり投げ掛けられたセリフに一瞬眉根を寄せた。
声は窓辺に佇む黒いシルエットから発せられた。
広大な宇宙の闇を連想させるマントに、目元を覆う瀟洒な仮面。口の端にはキラリと光る鋭い牙を覗かせている。人間の血を喰らう恐ろしいヴァンパイアの装いは、さぞ月夜が似合うことだろう。
だが、この島は無夜島という名の通り宵は訪れないので、彼はマントと共に淡い光を身に纏っていた。

「あのさルッチ、トリック オア トリート!ってもう少し楽し気に言ったら?」

仮面で顔を隠していようがシュアにはすぐに正体が分かったらしい。試しに仮面を外してやると思い描いた通りの仏頂面と目が合った。

「なかなか似合うじゃない。でも、意外ね、ルッチが仮想するなんて」

「任務のためだ。今夜、仮装パーティーの裏で行われる革命軍の取引を抑える。
 潜伏するにはこの恰好の方が馴染むからな。
 それより"トリック オア トリート"だぞ。俺に捧げるものがあるだろう?」

クイクイ、と指先を自身に向けてあおるルッチに

「え~?そんなの」

ない、と言いかけてシュアは「あ、そうだ」と思い直すと、スパンダムから貰ったお菓子の籠から棒付きキャンディを一つ掴むとルッチに差し出した。

「はい、ハッピーハロウィン!」

「これだけで俺が満足するとでも思ってるのか?」

「え…じゃあ、パンプキンクッキーもいる?」

「まったく…鈍いオオカミだな」

「あ、ちょっと…きゃう!」

ルッチは片手で自身のネクタイを緩めながらガブッといつもとは違うシュアの耳をひと噛みした。
甘い刺激に打ち震えながら、シュアはルッチの肌蹴たシャツの胸元から除くクロスのネックレスに目がいった。
彼はヴァンパイアの皮を被っているけれど、本当は、きっとヴァンパイアよりも恐ろしい魔王に違いない。
オオカミ少女は君臨する魔王に逆らう術もなく、彼の思うままに支配されてしまうのだった。




30分クオリティだよ!ハッピーハロウィン!
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