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【3職長】寝てる間に落としたキス

ポカポカと温かな陽気の午後は昼食後による満腹感の後押しもあり、眠気に駆られるのが動物の生体機能というもの。

「ふあ~…」

ついつい零れ出る欠伸を惜し気もなく大口を開けて披露すれば私を見て笑っているのか、凭れかかっていた木がサワサワと風に葉を揺らす。優しい葉擦れの音はまるで子守唄だ。
そんな心地よい唄に耳を澄ませながら私の意識は次第に微睡みへと落ちていくのだった。。。

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****

「なんじゃ、寝とるのか」

裏庭の木陰にシュアの姿を見かけたからチャンスじゃとばかりに側まで寄ってみたんじゃが…。
ちょっとがっかりじゃのう。

シュアシュアー」

呼びかけてみても、頬をつついてみても反応無し。まったく、よく眠る娘じゃ。頬をつまんで横に伸ばしても気付かずにくーくー寝息をたてておるわい。まあ、このあどけない所もワシはたまらなく好きじゃが。寝顔を拝むなんて滅多にないことじゃし、これはこれでラッキーだったかもしれんのう。しかし、簡単に無防備な姿を晒して欲しくないというのも本音。お前に気があるのは何もワシだけではないんじゃからのう。

それから暫くシュアの寝顔を観察しておったが相変わらず彼女が起きる気配はない。もうすぐ昼休みも終わりなんじゃが…そっとしといてやろうかのう。こんなに気持ちよさそうに眠っておるのに叩き起こすのも気が引けるからな。

「じゃ、ワシは先に行くぞ?」

白い頬をそっと撫でれば、彼女は少し擽ったそうに身を竦めた。

****

シュア、起きろ。休憩時間はとっくに終わっているぞ、ポッポー』

そう呼びかけながらも心中では目覚めて欲しくないと思っていた。シュアはパウリーの補佐役。
仕事上、二人が常一緒にいるのは仕方ないことであると分かっているが、それでも嫉視するようになったのは、あの男が彼女に好意を持っていると知った時からだったか、それとも俺が彼女に特別な感情を抱いていると自覚してからだったか…。何にせよ、特別な感情など任務の邪魔に成り得る。本来ならば支障となる可能性の芽は即刻摘み取るべきだが…この島での退屈な生活にささやか花を添えるのも悪くはないだろう。そんな考えも所詮、起伏するシュアの喉元にかざした人差し指に力を入れることができないでいる自分への言い訳なのかもしれないが。

『ポッポー…パウリーには黙っといてやるか…』

そういえば、休憩が終わってもドックに戻って来ないシュアのことをパウリーが探していた。彼女がうっかり寝ていたことを奴が知ればどうなるかなど目に見えている。だが、こっ酷くパウリーに叱られるシュアの姿を思い浮かべつつも、もう少しこのまま、彼女の隣にいるのが俺でありたいと願った。

****

「見かけねェと思ったらこんな所でサボっていやがったのか」

一体誰の許可を得て白昼堂々寝てるんだか。呑気な夢でも見ていそうなその頭に拳骨の一つでも落としてやろうと拳を握るが…よく見ればシュアって睫毛長ェな…。唇もツヤツヤして…って、何見惚れてんだ!俺のハレンチが!シュア、テメェもそんな無防備な姿晒してんじゃねェ!このハレンチ娘!

「ハァ…くそ、寝顔は反則だろ…」

なんだか調子が狂い、結局固めた拳は振り下ろす前に力無く解いた。昔はただの幼馴染で妹みてェにしか思わなかったのに俺はいつからシュアのことを女として意識するようになっちまったんだろうな…。

「お前は、俺を男として意識したことあるのか…?」

小さく問いかけてもシュアは気持ちよさそうにスヤスヤ眠るだけ。仕事中だってこと完全に忘れてるだろ。だが…

「今日だけは大目に見てやるか」

そう呟きつつ彼女の隣に腰を落とす。こっちは二人分働いてヘトヘトなんだ、少しくらい休憩を取ったって誰も文句言うまい。

「ったく、今度飲みにぐらい付き合えよ?」

くしゃくしゃとシュアの頭を撫でつつ、俺は新しい葉巻きを口に加えた。

****

「ん…」

少し冷たい風が頬を撫で、肌寒さに眠っていた意識が徐々に現実へと還る。重い瞼を持ち上げれば、ぼやける視界には綺麗なオレンジ色に染まった空が…

「…って、ええ!?今何時!?」

飛び起きて腕時計の文字盤を覗き込めば時刻はなんと定時10分前。
うわー…やっちゃったよ。まさか作業時間を丸々昼寝に費やすなんて。我ながらいい度胸だ。
パウリー怒ってるだろうなぁ…。
ルッチが聞いたら呆れるかも…。
カクには笑われるな、きっと…。
うう、気が重いけれど、とりあえず持場に戻らなきゃ。そうしてドックに向かってとぼとぼと歩き出した矢先

「ンマー、シュアじゃねえか。こんな所でどうした?作業は順調か?」

「アイスバーグさん!」

なんてこった、まさかこのタイミングでボスのご登場とは。サボっていたことがバレてしまえば減給は免れないだろう。

「も、勿論順調ですとも~!」

すかさず笑顔を取り繕うけれども、何故かアイスバーグさんはそんな私を見た途端に当惑の表情。仕舞には隣に付き添うカリファと互いに顔を見合わせている。

「あのー…、どうか?」

もしかして髪の毛に寝癖でもついていたかしら?
恐る恐る尋ねれば「ンマー…」と何やら言いにくそうに言葉を濁すアイスバーグさん。しかし、暫しの間口籠った後、歯切れの悪い調子で彼は切り出した。

「盛んなのは構わねェが…職場では程々にしろよ?」

「え?一体何のことですか?」

疑問符を浮かべる私にアイスバーグさんは何やら自身の首を指し示すけれども、首?益々何のこっちゃわからない。
すると、今度はカリファが手鏡を取り出しそれを私に向ける。一体何だと言うのだろう?
鏡の中の自分をよく観察するも特におかしい所なんて……ん?
何だろう、この首のところに付いてる赤い痣みたいなの…と思ったところでハッと気付いた。
これってもしや…

「キスマーク!?何で!?」

「ンマー、気付いてなかったのか?」

「気付くも何も思い当たる節なんて…。
 もしかして、さっき寝てる間に…あ、」

しまった、と思った頃には時既に遅し。
目の前にはそれはもう爽やかな笑顔にミスマッチな青筋を額に浮かべたアイスバーグさんが。
そんな怖い顔やめて!ミスター紳士!

「カリファ」

「はい、既に決算済みですアイスバーグさん。
 職務放棄とセクハラ紛いな素行における懲戒を下した結果、
 減給となったシュアの給与は此方の明細書に記載の通りです」

「ンマー、流石だカリファ」

「恐れ入ります」

「全然流石じゃない!
 セクハラ紛いな素行って私寧ろ被害者なんですけど!?」

「アイスバーグさん、そろそろ次の予定が」

「ああ、そうか」

「無視!?ちょ、待ってくださいよ!
 アイスバーグさぁーん(涙)」

****

さて、誰の仕業でしょう…ご想像にお任せします^^
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