忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【拍手】長官の犠牲率がやたら高い拍手集 1

「ルッチのばかーーーーー!!!」

うわぁぁんと泣き叫びながら部屋から飛び出す彼女の背をルッチはただポケットに手を突っ込んだまま無表情で見送った。

拍手[3回]


いきなりの罵声に何事かとその場にいたCP9一同は一斉に視線をルッチの方へと向ける。

「一体どうしたんじゃ?」

カクは二人のやり取りを眺めていたフクロウに事情を尋ねた。

「ルッチがあいつのプリンを食べてしまったんだチャパパ―」

「はぁ?プリン如きでそんな大騒ぎする必要ないじゃろう?」

「あのプリンは長官が上から貰った政府のお偉方しか手に入らない幻の高級プリンだ。
 あいつは任務が終わってから食べようと楽しみに取って置いたのにまんまとルッチに
 横取りされてしまったチャパパー」

「なに!?おいルッチ、それはお前が悪い!」

話を聞いたジャブラがルッチに突っかかる。

「そうじゃな、謝りもせんとは…。ルッチが悪い」

「セクハラよ」

「…あいつが気の毒だな…」

「チャパパ―…」

「よよい!ここは一つオイラが切腹をー…」

仲間全員から責め立てられてもルッチは相変わらず涼しい顔。しかし、瞳に涙を溜めた先刻の彼女の姿が頭の中で追想すると

「…………。」

やがて彼は「やれやれ」といった風に溜息を一つ吐き出し、ゆっくりとした足取りで部屋を後にしたのだった。

それから数分後。

「おい」

塔の屋上で膝を抱えて縁に座り込む後ろ姿にルッチは声をかける。

「なによ」

しかし、呼びかけには応答するものの声の主は振り返らない。

「プリン如きでいつまで拗ねている、バカヤロウ」

「よくもまぁそんな口叩けるわね。一体誰のせいでこんな絶望に浸っていると思ってんのよ」

ルッチは最高に機嫌の悪い彼女に構わず隣にドカッと腰を下ろすと、徐にポケットからラベルの貼ってある小さな容器を取り出した。そしてそれを隣に向けて軽く放り投げると咄嗟に受け取った彼女の瞳が瞬く間に輝くのだった。

「幻の高級プリン…!」

「これで満足か?」

「どうしたの!?簡単に手に入らないのに…」

「長官がもう一つ持っていた」

言いながらルッチは脳裏でスパンダムとのやり取りを思い出していた。

『はァ?プリンが欲しいだと?ダメだ!
 この貴重なラスト一つは俺の…あ…いや、わ、わかったよ、
 やるからそんな怖い顔で睨むな!』

腑に落ちないといった感じのスパンダムだったが、ルッチは特に気にするでもなく隣で嬉しそうに封を開けてプリンを頬張る彼女に視線を移した。

「う~ん、幸せv」

「おい、一口寄越せ」

「やだ。ルッチ既に食べたじゃん」

「ならばこちらを頂く」

ふいに交わした口づけは甘くとろけるプリンの味。

****

「あ゛ーーーー」

「…………。」

「あ゛ーーーーー」

「…………。」

「あ゛ーーーーーー」

「あ゛ーあ゛ーうるせェ、静かにしやがれ!執務に集中できねェだろっ」

なんとも耳障りな声に苛立ちが頂点に達したスパンダムは目の前のソファにだらしなく横たわっている彼女を怒鳴りつけるが、叱られている当の本人は悪びれるどころか自身の衣服を掴みパタパタとはためかせ更に唸りだした。
チラチラと覗く胸元に少々邪な気持ちが顔を出すが、仮にも上司の目の前でここまでダラけた姿を見せるとは部下としてどうなのだろう…とスパンダムは重い溜息を吐いた。

「あのなァ、この異常なまでの猛暑続きでバテるのも分かるが
 お前ここんとこずっとそんな調子じゃねェか。
 いい加減真面目に任務を全うしろ!俺の出世がかかってんだぞ!?」

「別にいいじゃないですか、夏休みなんだし」

「えっ、俺長期休暇言い渡したっけ!?」

「私が今決めました」

「勝手に決めんじゃねェエ!仕事しねェなら無給にするぞ!」

「だめ、それだけはだめ」

と言いつつもやはりやる気は湧かないらしく相変わらずソファから起き上がらない。
どうしたものかとスパンダムは思案に暮れながら一先ずコーヒーを啜ろうとカップに口を付けた。しかしその瞬間

「嵐 脚!!」

「どわァァァァアア!?!?」

突然の攻撃に間一髪で避けたものの、思わず放り出したカップは斬撃を真に受け真っ二つになり、そのまま床に落下し終には粉々に破損してしまった。勿論中身のコーヒーも派手にぶちまけられたのは言うまでもない。

「いいいいいい、いきなり何しやがる!?殺す気か!?」

「こんな暑い日に目の前でそんな熱いもの飲まれると余計暑く思えてイライラする!」

「CP9イチの自己中だよ、お前は!
 俺はホットしか飲まねェことぐらい知ってるだろ!」

「ああ…駄目、フラフラする…」

さっきの威勢は何処へやら。相変わらず他人の抗議を聞き入れない彼女は力無くその場に倒れそうになりスパンダムは咄嗟にそんな彼女を抱き支える。触れた体は思っていたよりも熱く、薄っすら汗ばんでいた。

「お、おい、大丈夫か?」

「すいません…。私、本当に暑いの苦手で…か弱いから…」

正直イライラするとの理由だけで上司を抹殺しようとする奴をお世辞にもか弱いとは言えないが嵐脚をしただけで力尽きる所を見ると暑さに弱いのは本当らしい。

「ったく、しょうがねェな…」

スパンダムは悄然とする彼女を背中におぶると部屋を後にし、エントランスの方へと足を進めた。

「長官、どこ行くの?」

「何か冷たいもん食いに行くぞ!
 何が食べたい?かき氷か?それともアイスか?」

「長官の奢り?」

「まァな、部下に御馳走するのも上司の仕事の内だ」

「じゃあ……高級焼き肉で」

「お前なァ…(怒)」

****

「フンフーン、フフーン~♪」

「やけにご機嫌ですね、長官。そんな油断してるとまたうっかりコーヒー溢しますよ」

「チッチッチ…今日はそんな無様な真似は断じてしない…。
 何故なら!今日はいつものコーヒーとは一味違う、
 この俺様が直々に4時間の行列に並んだ末やっとの思いで入手した
 美食の町プッチの美食家の厳選による限定スペシャルブレンドコーヒーなのだからなァ!!
 くだらぬミスでこの苦労を水の泡にするかバーカ!」

「…なるほど、長官って本当にド暇なんですね」

「おいコラ、そこは
 "え!?4時間も行列に並んだなんて長官、気が長いんですねっ見直しちゃった(はぁと)
  そうだ、疲れたでしょう?私が癒してさしあげますよ(はぁと)"
 とか言うべきだろ!」

「帰ってくるなり私に報告書を書かせといて次はピンク命令ですか。
 セクハラで言いつけますよ、カリファに。
 だいたい行列に並べば疲れることぐらい目に見えているんですから
 端からコーヒー如きに無駄な体力使わないでください。もう若くないんだし…(ボソッ)」

「報告書は散々催促しても書いてこねェからわざわざ俺の部屋で書かせてるんじゃねェか!
 不満ならとっとと仕上げやがれ!
 それから小さい声で歳を労わるな!結構傷つく!
 …っと、いい具合に冷めたし、そろそろ頃合いだな~♪」

そうしてスパンダムはお気に入りのカップに注がれたGSBC(略した)を一口。

「くぅ~ッ…やっぱり普段飲んでるコーヒーとは別格だ。苦労した甲斐があるってもんだぜ。
 まァ、コーヒーを好んで飲まないお子様のお前には
 この香りや味の良さはわかんねェだろうな~」

「むむ…」

確かにコーヒーはあまり好きではないが、そんなに絶賛するほど美味しいのであれば一度そのGSBCとやらを味わってみたいというのも事実。

「長官、一口くださいよ」

「ダメだ。
 これは希少価値が高ェんだからお前なんかに一滴たりともやるわけにゃいかねェんだよ!」

「"スパンダム長官は仕事を投げ出して朝っぱらからプッチに足を運んだ挙句
 組織の経費で自分の趣味のコーヒーを購入"と」

「ギャーーーーーーヤメロ!!!
 報告書になんてこと書きやがる!!!上も目を通すんだぞ!?!?
 わ、わかった、やるよ!!やるから今すぐ訂正しろ!」

「最初からそうしていればいいんですよ」

潔くカップを差し出したスパンダム。しかし次の瞬間、ある思惑が彼の頭を過る。

「(あれ、これって…間接キスのチャンスじゃ…!?)」

淡い期待を胸に秘め、カップに口を付けようとする彼女の動作に生唾を飲み込んだその時

「失礼します。長官、任務が無事完了しましたのでご報告を」

「あ、ルッチ」

「え゛」

「……お前はいつからコーヒーを飲むようになったんだ」

「このGSBCがめちゃくちゃ美味しいって長官が大絶賛するものだから
 一口飲んでみようと思って」

「ほう…」

コーヒーに興味を持ったのか二人の元へと歩み寄るルッチ。そして徐に彼女の手からカップを取ると
そのまま一気に飲みだした。

「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ルッチてめェ何してんだぁぁぁあ!!
 折角…」

「"折角"…何ですか?」

「ななな、何でもねェよ!だからすぐそんな射殺すような目で
 こっち睨むのヤメロってば怖いから!!」

「あーあールッチが全部飲んじゃったー」

「まだ一口しか飲んでなかったのに…(涙)
 俺の楽しみ同時に奪いやがって泣くぞこの野郎…」

例え間接キスであっても好きな女の子の唇は誰にも渡さないルッチなのであった。
PR

プロフィール

HN:
新堂モラトリアム
性別:
女性
自己紹介:
当サイトは個人ファンサイトであり原作者様・出版社様・公式関係者様とは一切関係がありません。また著作権侵害を目的としたものではありません。公共PCからの閲覧、オンラインブックマーク、公式サイトとの同窓閲覧、中傷、荒らし、サイト内の文章や画像の無断転載や模倣等はご遠慮ください。閲覧は全て自己責任となりますので苦情は一切受け付けません。マナーを守って楽しめる方のみどうぞ。

NAME CHANGE

ブログ内検索

ご意見があればお気軽にどうぞ