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【ルフィ】何気ない素振りで背中に張り紙

最近の俺は何か変だ。
変って言っても、病気とかそんなんじゃなくて、シュアがゾロやサンジと一緒にいると、なんとなく胸の辺りがモヤモヤするんだ。

拍手[2回]


****

その日、俺たちの船はとある無人島に停泊した。
俺は、毎度の如く好奇心に促されるがまま真っ先に船を飛び出し探索へと出掛けた。
この島には一体どんな生物がいるんだろう。どんな冒険ができるだろう。ワクワクと胸を躍らせ木が生い茂る林の奥へとズンズン突き進んでいたところに大きな渦巻き模様の羽を持つ蝶が俺の目の前をヒラヒラと横切った。

「うおー!変な模様だなあ!
 よし、掴まえてシュアに見せてやろう!あ、でもシュアは虫嫌いだからダメか」

随分前に、どこかの島で掴まえたヘラクレスをシュアの目の前で見せつけ自慢したことがあったが、あの時のシュアの反応はまるでこの世の終わりみたいな顔してたな。それはそれでスゲェ面白かったけど。
そうしてシュアのことを思い出したところで、はたと気付いたけど、そういえばシュアは今何しているんだろう?
虫嫌いの彼女は、こういった草木の生えている所を好まないから無人島に停泊した際は大抵船番を買って出る。船番の時のシュアはよく一人で本を読んだりなんかして時間を潰しているらしいが、たまに一緒に船に残ったゾロと並んでうたた寝してたり、ウソップの実験を手伝ったりしてクルーの帰りを待っている時もある。
だから、もしかしたら今回もシュアは船に残っているのかもしれない。シュア一人で…あるいはクルーの誰かと。
別にそれがどうしたってわけでもないんだけど…なんとなく…面白くなかった。
やっぱり最近の俺は変だ。
いつもなら日が暮れるまで探検するのに今日は何故か無性に早く船へと戻りたくなって、俺は、まわれ右をして元来た道を再度歩き始めた。

****

「あ、ルフィおかえり!」

「なんだ、お前にしてはやけに帰ってくるのが早いじゃねぇか」

サニー号に戻るなり漂ってくる甘い匂いに誘われてダイニングの扉を開けると、俺を出迎えたのはキッチンに立つシュアとサンジだった。やっぱり思った通り、シュアは船に残っていたんだ。

「うーん、なーんか気分が乗らなくてよぉ」

「え、ルフィ一体どうしたの!?熱でもあるの!?」

「何か変なモンでも食ったか?」

「お前ら揃って失礼だな。俺だってたまにはそういう時ぐらいあるぞ。
 それよりスッゲェ美味そうな匂いするけど何作ってんだ!?」

目をキラキラさせてキッチンを覗き込む俺に「やっぱりいつものルフィだな」と笑いながらサンジが開けたオーブンの中からは、ほど良く焼き色のついたホールケーキが。

「今ね、サンジくんと一緒におやつのケーキ作ってるんだ。
 デコレーションが終わったら完成だから、出来上がるまでもう少し待っててね!」

「へぇー!今日のおやつはシュアも一緒に作ったのかぁ!」

食うのが楽しみだなぁ。…でも、どうしてまた胸の辺りがモヤモヤするんだ?
サンジに上から手を取られスポンジに生クリームを塗るシュアの手付きとか、サンジの隣で綻ばせる表情を眺めていると、まるで胸のモヤモヤが加速していくようだった。

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「…あのさ、ルフィ?」

「おう!」

「ケーキ完成するまでもうちょっとかかるからね?」

「おう!」

「…………。」

「…………。」

「…あの、だからさ、時間かかるからどっか遊びにでも行ってきたら?」

「いいじゃねぇか。ケーキが出来上がっていくの見ていたいんだからよ」

「テメェ、さっきからケーキじゃなくてシュアちゃんばっかり見てるじゃねぇか。
 そんなにジロジロ見られてたらシュアちゃんだってやりにくいに決まってんだろ。
 ほら、出て行け」

そう言われても俺は遊びに行く気分じゃないから此処にいるんだ。しかし、渋る俺の首根っこをサンジに掴まれ、結局俺は甲板へと放り出されてしまった。
ちぇ、二人ともケチだな。もういいや、寝る。
そうして俺は甲板にゴロンと寝そべり瞼を落とした。時々扉の向こうからシュアとサンジの楽しそうな声が漏れてくる。
なんか…スゲェムシャクシャする。
いつもなら、横になるとすぐ眠れるのに、その日は結局ケーキが出来上がるまで俺は一睡もできなかった。こうなったらケーキやけ食いしてやろう。

****

「あー!私の分のケーキが無い!ルフィ、食べたでしょ!!」

で、やけ食いの結果、お叱りを受けるに至ったわけで、俺は今、仁王立ちのシュアを前に正座を強いられている。

「夕食後のデザートにしようと思って折角取っておいたのにー…バカルフィ」

「悪い…。でも、食べずに置いてあったから、てっきりいらねぇモンだと思ったんだよ」

「うーん…まあ反省してるなら今回は見逃してあげる。
 でも、次からは勝手に食べないでよ?」

「わかった!これからはシュアの分じゃなくてウソップの分を食う!」

「どうしよう、全然わかってない」

横取りを堂堂と宣言する俺にシュアは眉をハの字にして首を捻っていたけれど、暫くして何やら思いついたのか「そうだ」と言って手を叩くとどこからかメモ用紙と筆を取り出したのだった。

「今度から人に取られたくないものは紙に名前を書いて貼っておくことにしよう。
 だからルフィ、私の名前でもウソップの名前でも
 誰かしらの名前が書いてあるものに手を出しちゃダメだよ?」

勿論、ルフィも取られたくないものに貼れば他の人に奪われる心配もないよ、と付け加えて
シュアはニッコリと笑った。この笑顔が他の誰かに向けられるとモヤモヤするのに、こうして俺だけに笑いかけてくれるとどうしようもなく嬉しい気持ちになるんだから不思議だ。いっそ、この笑顔を一人占めにできたらいいのに。
…………そうだ!

「なあ、シュア!ちょっとそれ貸してくれよ」

「う、うん、どうぞ?」

俺はシュアから紙と筆を受け取ると早速自分の名前を書き始め、そして"ルフィ"と一面にでかでかと明記したその紙を手に「ゴムゴムの張り紙!」と腕を伸ばしてそれをシュアの背中に貼り付けた。よし、これで安心!
しかし、首だけを後ろに回して自分の背中に貼られた紙を見たシュアの反応は

「何これ…?」

その一言に尽きた。

「何これって可笑しなこと言うなあ。貼り紙貼ろうってシュアが提案したことだろ?」

「それはそうだけど、何で私に貼るの?」

「だって取られたくないものに貼るんだろ?…実は俺さ、最近変なんだ」

「確かにルフィは変だけど…それは今に始まったことじゃないよ?」

「そうじゃなくてよ、シュアが俺以外の男といると
 ここら辺がモヤモヤして苦しくなるんだ。
 だから、こうすればシュアを誰かに取られる心配はないだろ?」

「はぁ……ん?ええ!?それって私のこと…」

「なんだ?」

「あ、いや、えっと…その…こういう時って何て言えばいいのかな~…」

それまでポカンと口を開けて俺の話を聞いていたシュアの顔が途端、真赤に染まり、伏せられた目は右往左往と行き来して落ち着かない。それに、言葉も詰まって何が言いたいのかさっぱりわからねぇ。
でも、

シュアは俺のものになるの嫌なのか?」

顔を覗き込んで尋ねた質問への返答はしっかりと伝わってきた。

「う、ううん。ルフィのものになら…なってもいいよ」
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