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【スモーカー】偽物でも、ラブレターはラブレター

「たしぎちゃん今日もかわいいねェ~、今夜ひま?」

「青雉殿!またふざけて…。
 いい加減にしてください、勤務中ですよ!
 まったく、どうして大将はそう毎度毎度…」

偶に本部にやってくればすぐこれだ。
目の前で繰り広げられるやり取りはスモーカーにとって最早見慣れたものであった。

拍手[1回]

「放っとけ、たしぎ。
 そりゃソイツなりの挨拶だ。
 いちいち気にかけてちゃ時間がいくらあっても足りねェ」

「スモーカーさん」

「あららら、スモーカーったら部下が口説かれてるっていうのに随分余裕じゃない。
 流石、二人もかわい子ちゃんを連れてる男は気の持ちようが違うねェ。
 俺は毎日野郎の顔しか拝めないってのに。
 まったくお前が羨ましいよ…おっとっと、
 こんなこと、おつるさんの耳に入りでもすりゃ嫌味を言われちまう」

青雉の言う羨望の理由は、たしぎと、そして今この場に姿を見かけないシュアであろうことは彼女たちの人気を知るスモーカーにとっても明白であった。
しかし、たしぎは軍曹としての働きも良く、一目置かれる存在であることにスモーカーも肯けるとして、どうにもシュアの方には納得がいかない。
なぜなら、戦闘能力の高さこそ認めるものの、彼女は考えもなしに本能で行動する悪癖があり、その破天荒さには毎度手を焼かせられっぱなしだからだ。

「言っておくが、たしぎは兎も角、
 シュアはお前が思っているほど碌な女じゃねェぞ。
 あいつァ、面倒事ばかり起こしやがる」

今だってまさにそうだ。
シュアとたしぎ、二人の部下を引き連れマリンフォードを訪れたまではよかったものの、本部へと向かっていた道中に忽然と居なくなってしまったシュアを、スモーカーはたしぎと共に捜索を余儀なくされていた。
もっとも、目を離した隙に彼女がふらりと何処かへ行ってしまうことなど度々で、その都度勝手に戻ってくることも例外ではない。
見ず知らずの無人島では流石にそうもいかないが、幸いここは組織の中枢ともなる海軍本部。
放っておいてもその内帰ってくるだろう、と軽んじていたスモーカーであったが、「あー、そうそう」と、わざとらしい口ぶりの後に呈された青雉の一言によってスモーカーの考えは一挙に変容した。

「そういやァ、さっき窓の外に
 若い新兵と一緒にいるシュアちゃんを見かけたなァ。
 何やらラブレターを渡されていたみたいだったが…?」

「…………。」

「もう、あの子ったらどこに行ったかと思えば
 勤務中だというのに不埒極まりない!
 ねぇ、スモーカーさん?」

「たしぎ、大事なのはそこじゃねェ…。
 おい…シュアはそれを受け取っていたのか!?」

「ええ!?スモーカーさん!?」

上司から返ってきた予想外の反応に戸惑いを隠せないたしぎ。
しかし、スモーカーはそんな彼女に目もくれず、先刻の余裕とは打って変わって噛み付かんばかりに青雉に詰め寄った。

「まあまあ、落ち着きなさいや。
 気になるなら直接本人に聞いてみたらいいんじゃない?」

そう言って青雉がスモーカーの背後を指差した先、

「スモーカーさーん」と、一際間延びした声が正義の文字を背負うスモーカーの背中にかかるのであった。
振り返ると其処には案の定、此方に向けて駆け寄るシュアの姿が。
正直、シュア本人に訊ねるのは気が進まないスモーカー。
だが、目の前の男は肩を竦めてもったいぶるだけなため、スモーカーは小さな舌打ちの後に渋々シュアと向き合うのであった。

「おい………」

「ひっ!ごめんなさい!」

「なに急に謝ってやがる」

「だってスモーカーさん、また私が単独行動取ったから怒ってるのかな、と。
 いつも以上に怖いし、顔が」

「今更顔にケチつけるんじゃねェ。
 それより…なんだ、その…ラブレターを渡されたらしいじゃねェか」

「あれ、何で知ってるんですか?」

「風の噂だ。貰ったのか…?」

「はい、ちゃんと受け取りましたよ」

「なに!?どんな相手だ!?」

「え~、何でそんなに気になるんですか~。
 まあ、かわいらしい方でしたよ…」

「かわいらしいだと!?
 お前の好みは昔から俺だろうが!」

「ちょ!?何で知ってるんですか!?
 恥ずかしっ!」

「ごめんなさい、うっかり私が言っちゃいました」

「たしぎちゃん!二人だけの秘密だって約束したのに
 私たちの絆はその程度のものだったの!?
 ていうかスモーカーさん、堂々と自負するのもどうかと。
 でも、ラブレターと私の好みに一体何の関係が…あ、」

そこで何かに気付いたらしいシュア
それまでスモーカーの異様な焦り様を怪奇に感じていた彼女だったが、途端、その表情はニヤニヤと口の端を上げた笑みに変わったのであった。

「もしかしてスモーカーさん、
 私が誰かのものになるんじゃないかと心配してるんですか?」

「……………。」

だから本人に聞きたくなかったんだ。
などと心の中で悪態をつこうが覆水盆に返らず。
スモーカーはばつが悪そうに歪む顔を葉巻の紫煙に紛らわせて誤魔化すも、図星をついたことを確信したのかシュアは「安心してください」と、ニッコリ目を細めるのであった。
そして、極め付けに懐から一通の封筒を取り出すと、それをスモーカーに向けて差し出し笑顔を崩さぬままにこう言った。

「これ、スモーカーさん宛てなので」

「は…!?」

封筒をふんだくり確認してみれば宛名の欄には間違いなく自身の名前が。

「…青雉、謀ったな…」

わなわなと肩を震わせ青雉を睨めば彼は悪びれる様子もなく口角を持ち上げた。

「俺ァ、嘘は言っちゃいねェよ?」
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