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【ルッチ】朝焼けグロウ

轟轟と滾る炎が取り囲む。

朦朧とする意識の中、揺らめく陽炎の奥に佇む男の姿が脳裏に突き刺さった。

「(麦藁……)」

絞り出した声は、悲痛な呻きと変わり虚しく業火に溶ける。
最早俺の躰は自由の利かない抜け殻同様だった。

「(何処へ行くつもりだ…。勝負はまだ…ついていないぞ…)」

背を向けた麦藁の後姿が徐々に遠ざかってゆく。

限界をとうに超えている肉体に鞭打ち、渾身の力で立ち上がり、覚束ない足取りでなんとか追いつこうとするが、海兵どもの追撃に行く手を阻まれてしまう。

「(クソ…俺の邪魔をするな…!)」

がむしゃらに蹴散らすが、倒しても倒しても沸いて出てきやがる。

俺が戦わなければならない相手はお前たちなんぞではない。
闇の正義の名のもとに麦藁を仕留めるまで、倒れるわけにはいかないのだ。

しかし、とうとう俺は包囲されてしまった。
やがて俺は…………

俺は……………



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****



「…ッチ、ルッチ!!」

「……!」

「…大丈夫?魘されてたけど…」

「……シュア……。」

頬を撫でる生温い潮風が、今いる世界がリアルであることを虚ろな頭に訴える。

「甲板なんかでうたた寝してたら風邪ひくわよ」

「……………。」

顔を覗き込むシュアから視線を逸らし、海面に映える月をぼんやりと眺めた。
揺蕩う波に合わせて歪む月はどこか幻想めいて、俺からすれば先刻までの光景の方がよほど現実味を帯びているように思えた。

「嫌な夢でも見たの?」

「……さあな」

俺は、麦藁に敗れたあの日から、同じような夢ばかり見るようになった。
いつの日か、シュアはそれを"執着"や"意地"のせいだと言い、くだらないと謳った。

それでも俺は、己の正義を全うするため、もう一度麦藁との対峙を強く望んでいる。
そして、次こそ奴の息の根をこの手で止めるのだ。
そのためならば、どんな手段を使ってでも奴らに近づいてやる。

だが、実際はどうなのだろうな。
追っているつもりが、毎日のように悪夢に魘され…一体追い詰められているのはどっちなんだか。

「…また、麦藁のことを考えているの?」

怪訝そうに眉を顰めるシュアは、何も発さない俺を見て肯定と受け取ったのか、諭すように続けた。

「ねえ、私たちはもう失敗なんて許されないのよ。
 過去にこだわるのは止めて、今は新たな任務に専念した方がいい。
 いつまでも貴方がそんな調子じゃチームの士気だって…っ…………。」

この俺に説教とはお前も偉くなったものだ。
言葉を紡ぐ煩わしい口を塞ごうと、半ば強引に顎を持ち上げ接吻を交わす。
波の旋律だけが二人の沈黙を繋いだ。

「…少しは静かになったか」

「…………。」

親指で濡れた唇をなぞってやると彼女の目つきが僅かに鋭くなった。
その凛とした瞳にゾクリと本能が掻き立てられる。
むき出された細く白い首筋に爪を立てて胸まで引き裂けば、一体どれほど狂おしく美しい花を散らせるのだろう。

しかし、そんな考えも束の間、物音一つ立てずにシュアはひらりと俺から身を離すと、徐に船首の方へと足を向けた。

「そろそろね」

彼女に倣って俺も船首へ歩みを進めると、水平線の先に光が差しかかり、思わず目を細める。
いつの間にか波に浮かぶ月も姿を隠し、やがて、世界に夜明けの訪れを知らせた。





****
実際に彼が船長に会いたがってるかどうかなんて知らないです。
かっこいい彼がみたい方は劇場へドゾー
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