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【カク】酔わせ上手

僅かに開いたカーテンの隙間から眩しい陽射しが差しこむ室内。窓の外から聞こえる町の喧騒によって私の意識は深い眠りから現実へと引き戻された。ベッドの脇に置いてある目覚まし時計に手を伸ばし、まだぼんやりとしている頭で時間を確認する。時計の針は12時を少しまわったところであった。

「もうお昼か…」

ゆっくりと体を起こすと頭がひどく重く感じられた。う~やっぱり次の日に響いたか…。
テーブルを見ると空になった酒のボトルやらつまみやらが幾つも無造作に置いてあり、昨晩の宴の激しさを物語っていた。床ではパウリーをはじめ、カクとルッチもそれぞれ雑魚寝をしていてなんというか…見苦しい。ファンの女の子たちが今の彼らの姿を見たら引くだろう、きっと。

そんな感想を抱きつつ私はベッドから降りると覚束ない足取りで台所へと向かう。そしてグラスを手に取り水を注ぐとそれをゴクゴクと一気に飲み干した。
ぼんやりとしていた頭はすぐに冴えたが、対して鈍い痛みはやはりすぐには治らない。まったく、こんな頭痛に悩まされるのも原因は全て奴等にある。私は額に手を当て昨晩の出来事を思い返した。

拍手[1回]


仕事終わり、ブルーノの店に出向いたのだが生憎満席とのことであり、結果的にパウリーの家で飲むことになったのが始まりである。

「そうだ、トランプしよう!」

宴が開始してから1時間ほど経過した頃、ほろ酔い気分の私はそんなことを提案したのだ。そしてトランプの王道とも言える大富豪をやり始めたのだが…

「またシュアの負けじゃ。お前さん弱いのぅ」

『これで10連敗だっポー』

「ハハハ!おいシュア、突っ伏してないで早く飲んじまえよ」

「うぅ~もう飲めにゃい~…」

私が弱いのか、他の3人が強いのか、あろうことに私はことごとく負け続けた。しかも罰ゲームにはお酒の一気飲み…。限界を訴えたのだが、パウリーに無理やり飲まされたところで私の記憶は途切れている。きっとそのままダウンしたのだろう。

「くそぅ…あの3人絶対グルになって私を負かしてたんだ」

キッチンから先ほどの部屋に引き返し、ぐうぐうと気持ちよさそうに寝ている3人を見てると、なんか腹立ってきた。
そうだ、仕返しをしてやろう!
そう思い立った私は、丁度目に止まったペンケースから一本のマジックを取りだす。
当然まずは私に酒を煽り続けたパウリーからよね。
私は横たわるパウリーの上に馬乗りになりマジックのキャップを外す。フッフッフと不敵に笑う私は、きっとどこかの賞金首より悪い顔をしているだろうな。そんなことを考えながらも遠慮なくパウリーの顔にマジックを走らせ…

「っぷ…ざまあみろ」

これで一丁上がりだ。ちなみにパウリーは全く起きる気配がない。
よーし、この調子で後の2人にも仕返ししてやる!
次のターゲットは反対側で寝ているカク。彼も熟睡しているようだ。
さて、どんな落書きをしてやろうか…。
カクに馬乗りになり、そんなことを考えていた私は完全に油断していた。

「きゃ!?」

突如視界が反転し、背中は床、そして目の前には天井と、カクの顔が。

「な!?んぐ、」

咄嗟に言葉を発そうとしたけれどカクの手によって口を塞がれ私の声は呆気なく封じ込まれてしまった。見開いた目でただカクの顔を見つめることしかできない私に、彼は口を押さえていないもう片方の手の人差し指を自分の口元に当てると「シーッ」と静かにするように告げる。
それに対し、コクコクと首を縦に振って応えれば漸く口を押さえていた手が離れた。
はぁ…びっくりした。

「何をしとるんじゃ?」

「いや…別に何も…」

お互い小声で話すがカクの声は小さいながらも威圧感があった。悪戯をしようとしていたことを告げれば怒られてしまうような気がして本当のことを言えなかった。なんだか親に叱られている子どものような気分である。

「ほー…言えんということは、やっぱりシュアはワシの寝込みを襲おうとしてたんかのう?」

「ち、ちがうよ!んぐっ」

「静かにしんとみんな起きてしまうじゃろ?」

またもや口を塞がれてしまった。これ息ができないからやめて欲しい…。
先ほどと同じように首を縦に振り、今度こそ静かにすることを約束すると、なんとか口を解放してくれた。

「お、怒らないでほしいんだけど…昨日の仕返しをしようと思って…」

「仕返し?」

「昨日トランプで勝てなかったから…」

渋々とカクの質問に答えるけれど…どうしよう、さっきからカクの顔が近くてドキドキしてしまう。まともにカクの目が見れない。逃れるように視線を逸らしたところで

「あ…」

カクの頬に黒い線が一本入っているのに気づいた。さっき反転した時にマジックが掠ってしまったんだ。

「ついちゃった」

「?」

カクは何のことかわからないといった風に首を傾げたが、私の手に持つマジックに気付くとすぐに理解したようだ。

「まんまと仕返しされてしまったわい。
 じゃあ、ワシは仕返しの仕返しをする権利があるってことじゃな」

「はぁ…」

仕返しの仕返しってどういうことだろう、と考えようとしたところでふいに感じた唇の熱に私の思考回路は遮断してしまった。
角度を変えて何度も何度も深く口づけられ、合間に漏れる吐息が更に気分を高揚させる。
おかげで二日酔いは治ったけれど、どうやら今度は目の前の彼に酔ってしまったらしい。
そうして私はぼんやりとした頭で彼の甘い仕返しにまんまと翻弄され続けたのであった。

****

その後

パ「なんっだこの落書きはー!?
  洗っても消えねェ!!」
カ「困ったのう…ワシも消えないんじゃが」
 「だって油性だもん」
ル『俺だけ無事というのも疎外感半端ないっポー』
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