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【カク】脇腹を指先で擽れば

「あーあ、カクがCP9の指令長官だったらよかったのに…」

水の都行きの海列車で、流れる景色を見つめていたシュアが、ふいにそう呟いた。

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「ワハハ、可笑しなことを言うのう。
 どうしてそう思うんじゃ?」

自分の陽気な声が、侘しい車両内ではやけに浮いて聞こえる。
同じく潜入チームであるルッチ、カリファ、ブルーノがW7へ向かったのは二日前のことだ。大人数は人目に付きやすいとのこともあって念を押し、島には二手に分かれて潜入することにした。
しかし、もの悲しいのは二人ぼっちのせいだけではない筈だ。

「だって、カクは強くて頼もしいし、コーヒーだって溢さないし…
 それに…5年間の長期任務だって押し付けない」

窓ガラスに力なく頭を預けるシュアのそんな皮肉の裏側に隠れた想いをワシは知っている。
まったく、彼女は素直じゃない。

「離れたくないなら、そう言えばよかったじゃろう?」

「…………。」

本当は、彼女が自身の想いを伝えない理由はなんとなくわかっていた。関係に亀裂が入り、側に居られなくなるくらいならこのまま、ただの上司と部下という関係のままで構わないんだろう。
しかし、本心を言わなくてもこうして離れる結果になったのだから救われない奴だ。
窓に反射して映るシュアの瞳が微かに揺れていた。
そうしてずっと外ばかり見ているからワシの伸ばした手に気付かなかったんだろう。
不意を突き、シュアの脇腹を捉えてこちょこちょと指を動かせば、唐突な刺激に彼女は面白いほど跳ね上がって反応を示した。

「ちょ、カク!いきなり何…うひゃひゃ!!
 タンマ!タンマ!」

「タンマはナシじゃ!」

「うひゃひゃひゃひゃ!
 ま、参った!降参します!」

その言葉でワシは漸くシュアの脇腹を解放してやった。
その時、シュアの瞳を揺らしていた雫がやっと零れ落ちた。

「もう…カクがあんまり擽るから…」

そう言って彼女は笑い顔で泣いた。まったく、きっかけを作ってやらんと泣けもしないとは、本当に素直じゃない奴だ。
だが、そんな彼女を抱き締められないでいる自分も、相当素直じゃない。
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