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【カク】プレゼントマトリョーシカ作戦

「山風便でーす、御免下さいなのじゃー」

そう言って自称山風便こと大工職職長のカクは颯爽と窓辺に降り立った。

拍手[1回]


「山風、便…?」

「お届けものじゃよ」

窓辺へと歩み寄った私に満面の笑みでプレゼントの箱を手渡すカク。
なるほど、だから宅配業者に成り済ましてるのね。
それにしても、随分大きな箱だけど一体何が入っているんだろう。
手の長いカクには余裕で持ち運びができる大きさなのだろうけど、いざ私が受け取ってみれば両手いっぱい最大限に使ってようやく持てるほどだ。
もちろん箱が大きい分、中身への期待も大きくなるというもの。
ワクワクと胸を躍らせ早速蓋を開けようとするが

「ストーーップ!!」

すかさず制止の声と共に何故かイエローカードを突き付けられた。

「……何?」

「今から出題するクイズに正解することができたら開けてもよいぞ」

「えー!?」

クイズかあ…。でも簡単に貰えないってことはそれ程スゴイものが入ってるってことかも。
うん、なんか燃えてきた。

「私、頑張って正解する!」

「うむ!では、ワシの好きな食べ物は何でしょう?」

あれ?そんな簡単な問題でいいんだ。
なんだか肩透かしを食らった気がしないでもないけどラッキーと思っとこう。

「バナナ!」

「ピンポーンじゃ!
 では、見事正解したお前さんにこの箱の開放権を授ける!」

「へっへっへ、楽勝!」

開放権を得たところで今度こそ嬉々として箱の蓋を開ける私。
ところが…

「え?」

意外や意外、箱を開けて出てきたものはなんと、またもや箱だったのだ。
二重包装…?不思議に思いながらも新たな箱に手を伸ばそうとするが

「ストーーップ!!」

これまた制止と共にイエローカードが。
もしかしてレッドカードも持ってんのかな?
という疑問はさて置き、何で正解したのにダメなの!?

「この箱を開けたければ新たに出題するクイズに正解せよ、じゃ!」

「えー!」

なんて回りくどいルールを…。
だけど、ここまで勿体ぶるってことは余程大層なプレゼントなんだ、きっと。
よし、ここはめげずに次のクイズに正解して今度こそプレゼントを手にしようじゃないか。

「どんな問題でもかかってこい!」

「ワハハ、意気がいいのう!
 では第二問。ワシの好きな色は何でしょう?」

相変わらずサービス問題よろしく難易度の低いワシクイズ…。

「オレンジでしょ?」

「大正解!流石ワシのシュアじゃ!」

よしよし、と嬉しそうに私の頭を撫でくり回すカクだけれど、そりゃあ5年間も一緒にいればこの程度の問題など御茶の子さいさい。
最早簡単すぎてクイズとして成り立っているのかと疑問に思えるほど単なる自己満とも言えるワシクイズではあるが、それでも正解は正解。
今度こそ!と期待を胸に新たな箱に手をかけたのだけれど

「何でまた箱なの!?」

どうしたものか、箱を開けば姿を現したのはまたしても箱。
そして

「では続いて第三問じゃ」

と、やはりお約束のクイズが始まってしまった。
人生そんなに甘くないというのが世の常か。どうやら箱の中身を拝むことはそれなりに遠い道程のようだ。
だからといってここで大人しく諦める私ではない。

「こうなったら意地でも最後の箱に到達してプレゼントを手に入れてやるんだから!」

そんなこんなでカクとのクイズ大会が幕を開けたのであった。

****

「それでは続いての問題じゃ」

「まだあるの!?もう軽く30問は超えてるよ!?」

「はて?今何問目じゃったか?」

「ほら、もう自分でもわからなくなってるじゃん!」

あれからどれぐらいの時間が経過しただろう。
幾問のクイズに回答しては箱を開け、回答しては箱を開けを繰り返し気付けば部屋中空箱で溢れ返っているというのに肝心のプレゼントは未だお目に掛かれていない。
新たに取り出していく度に小さくなっていく箱。
最初は両手で抱えるのもやっとだったのに今ではそんな面影もどこへやら。
プレゼントなんて本当にあるのかなぁ…。
掌サイズにまで小さくなってしまった箱を見遣ればそんな疑念すら抱いてしまう。
だけど、それでも続けてしまうのはやっぱり心のどこかで何かを期待しているからなんだろうな…。

「まあまあ、気を取り直して第うん十問目じゃ。
 ワシのお嫁さんになるのは誰でしょう?」

「……………私?」

驚いた。
まさかこんな問題がくるなんて。
ある意味、今まで出題されたクイズの中で一番回答に困っただろう。
だけど、勇気を振り絞ってここに自分の名を挙げたのは貴方のことが大好きだから。
とは言っても、これで不正解だったら大分ショックなんですけど…。
恐る恐る上目でカクの様子を覗うも彼はニッと口の両端を上げるだけで私の欲する台詞を寄越してはくれない。
あろうことか私が手に持っていたプレゼントの箱まで徐に取り上げてしまった。
え?本当に不正解なの…?
ドクリと心臓が不吉に轟く。
どうしよう、変な汗まで出てきちゃった。
だって、これじゃまるで、ふられたみたいじゃん。
ねえ、お願いだから何とか言ってよ。
しかし逼迫する心の叫びを声に出すのも怖くて、私はただカクの手に渡った箱をじっと見つめることしかできない。
その時

「大正解じゃ」

待ち望んだ言葉が降ってきたと同時に私に披露するように目の前で小さな箱の蓋を持ち上げるカク。
……喜び、というよりも先に驚いた。
だって、どうせまた箱なんだろうと思っていたのに、そんな私の予想を大きく裏切って四角い入れ物の中に存在を置いていたのは、上品にも気高く光り輝く指輪だったから。
これってもしかして…

「見事全問正解したお前さんには賞典としてワシの一生の愛を捧げよう」

「カク……」

驚きの余り固まる私の左手を恭しく取った彼は、その薬指に永遠の愛の象徴を飾った。
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